電気回路

電荷・電界・静電気

これまでの回路の話では、プラスやマイナス、電荷といった言葉が自然に出てきました。ただ、初学者の方にとっては「そもそも電荷とは何か」「なぜ引き合ったり反発したりするのか」があいまいなままだと、後の内容が理解しづらくなります。
そこで本記事では、まず電荷と、電子が移動して偏ることで起きる帯電(静電気)を改めて整理します。次に、帯電した物体が周囲に作る見えない影響である電界(電場)を説明し、電気力線を使って電界をイメージできるようにします。
最後に、身近な現象でもある
静電誘導
と、そのスケールが大きくなった例としての仕組みを入門レベルで解説します。

電荷と帯電の基本

電荷とは

プラスやマイナスの電気を持っているものを電荷(でんか)といいます。
プラスをプラス電荷、マイナスをマイナス電荷といいます。

電荷どうしの力は次のルールで決まります。

  • 同じ符号(+と+、−と−)は反発する
  • 違う符号(+と−)は引き合う

帯電とは

普段は正電荷(陽子)と負電荷(電子)がつり合って中性です。
しかし、刺激によって電子が移動し、どちらかに偏ることがあります。このように電気のかたよりが生じた状態を 帯電 といいます。

静電気とは

電子が規則正しく動くと電流になるため、電気とは動きがあるものと考えられますが、動きがない電気もあります。
この動きのない電気のことを静電気といいます。

下敷きを髪の毛にこすり付けると、髪の毛が下敷きに吸い寄せられます。

  • 摩擦によって、髪の毛から下敷きへ電子が移動
  • 下敷きは 電子が増えて(マイナスに帯電)
  • 髪の毛は 電子が減って(プラスに帯電)
  • プラスとマイナスが引き合うため、髪の毛が吸い寄せられます。

導体と絶縁体

静電気の「溜まりやすさ」は、材料の性質で大きく変わります。

  • 導体(例:金属):電荷が動きやすい → 溜まりにくい(接地すると逃げる)
  • 絶縁体(例:プラスチック):電荷が動きにくい → 溜まりやすい

電界(電場)とは

正電荷や負電荷は、周囲に電気的な影響を及ぼすみえない力を発します。
この「電気的な影響が及ぶ空間」を電界(電場)といいます。
電荷は電界から力を受けます。したがって、電荷が複数あると、互いに電界をつくり、その電界から力を受けて、電荷どうしが押し合ったり、引き合ったりします。

電気力線で電界を可視化する

電界は目に見えません。そこで、電界を考えるときに便利なのが 電気力線です。
点電荷(または球形導体)のまわりでは、電気力線は表面の各点から、その点の表面に対して直角の方向へハリネズミのトゲのように放射状に伸びます。また、電気力線は、交差しません。
正電荷は電気力線を吹き出し、負電荷は電気力線を吸い込むと考え、その方向に矢印を付けます。
矢印の向きは、そこに正電荷を置いたときにその正電荷に働く方向を表しています。負電荷を置いた場合は矢印と反対方向に力が働くことになります。
そして、電気力線の密度が高いほど、その部分の電界は強いと考えてよいです。

均一な材質の中では、正電荷のまわりから外へ出る“電気力線の合計”は電荷量が大きいほど増え誘電率が大きいほど少なく見える(=電界は弱くなる)と考えてよいと思います。
誘電率とは、電荷を置いたときどの程度影響を及ぼすかを表す、物質により異なる値です。

静電誘導

普段は正電荷(陽子)と負電荷(電子)がつり合って中性ですが、刺激によって電子が移動し、どちらかに偏ることがあります。このように電気のかたよりが生じた状態を 帯電 といいます。
この帯電した物体を別の物体に近づけたとき、正電荷と負電荷が引き付け合い、正電荷どうし、負電荷どうしが遠ざけ合う現象を静電誘導といいます。

静電誘導と雷

雷雲の中では、水滴や氷がぶつかり合うことで電荷の偏りが生じ、雲の中で +と−が分かれた状態になりやすいと考えられます。

  • 雷雲の下側に 負電荷 が多くなる
  • すると地面側では静電誘導により 正電荷が集まりやすくなる
  • 雲と地面の間の電界が強くなると、空気が電気を通しやすい状態になり
  • 一気に電荷が移動して 放電 が起きる
    これが落雷の基本イメージです。

まとめ

  • 帯電:電子が移動して、+と−のバランスが崩れた状態
  • 静電気:電荷が物体に溜まり、外へ流れにくい状態
  • 電界(電場):電荷が作る“空間の性質”。置いた電荷に力が働く
  • 電気力線:電界を考えるためのイメージ図。密なほど電界が強い
  • 静電誘導:中性でも電荷が偏り、引力が生まれる
  • :雲と地面の間で電界が強くなり、空気が電気を通して放電する

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