シリーズ:基礎シリーズ(組み込み開発)
この記事の役割:「ビルドは通るのに、書き込み(Flash Program)が失敗する」 ときに、上から順に原因を潰して復旧するためのチェックリストです。
はじめに
この記事は「ビルドは通るのに書き込みだけ失敗する」を、上から順に潰して復旧するためのチェックリストです。
- まず 「先に結論」 の3手順を上から試す
- 直らなければ 「切り分け3点セット」で方向を決め、該当する番号(トップ10)へ進む
- それでもダメなら、末尾の 「報告テンプレ」 を埋める(質問する時も早く解決できます)
先に結論(すぐに復旧したい人向け)
書き込み失敗は、まずこの順で試してみてください。
- USBケーブルを別の“通信できる”ケーブルに替えて、PCに直接挿す(ハブを経由して挿さない)
または、別のUSBポートでも試す - **評価ボードを電源OFF→ON(またはリセット)してから、もう一度書き込む
- それでもダメなら、e² studio(統合開発環境=IDE)の接続先(デバッガ)設定を“評価ボードのオンボードデバッガ”になっているか確認する
この記事が想定する前提
- ビルドはエラー0になっているのに、書き込みが失敗する
※ビルドでエラーになっている場合は、先に「組み込み開発とは」を参照してみてください。
1. まず確認する(切り分け)
書き込みの失敗は、原因を細かく読む前に 3つだけ順番に確認すると早いです。
- PCがデバッガを認識しているか (USBを挿したときに 接続音が鳴る/何か反応がある、デバイス一覧にそれっぽい器機がある)
- 認識していない/不安定 → 原因1)~2) へ
- 認識している → 次へ
- ボードに電源が入っているか (勝手に切れたり、ついたりして、電源LEDの光が不安定)
- USBを抜き差し(電源入れ直し)で直る/挙動が変わる → 原因3)、原因6) へ
- 変化がない → 次へ
- 書き込み先の設定が合っているか (別のターゲット(評価ボード以外)に書こうとしてないか)
- 設定を変えたかも → 原因4)、原因9) へ
- それでもダメ → 原因5)、原因7)、原因10) へ
2. 書き込みできない原因トップ10(上から順に潰す)
1) USBケーブル/USBポートの問題(不良・接触・相性)
症状:接続が不安定、たまに成功、ボードが出たり消えたりする
対処:
- 別のケーブルに替える
- USBはハブを使わずPCに直接挿す
- 別のUSBポートを使用する
2) USBハブ / 延長 / ドック経由で不安定
症状:書き込み途中で落ちる、一定割合で失敗する
対処:
- USBはハブを使わずPCに直接挿す
- ノートPCなら 給電しながら試す(電力不足の回避)
3) ボードの電源が入っていない / 電源状態が不安定
症状:PCは評価ボードを認識しているのに、書き込みが開始できない/途中で失敗する
対処:
- いったん外部配線を全部外す(センサ・ブレッドボード・ジャンパ線など)
- 評価ボードだけをPCにUSBで直接挿す(USBハブは使わない)
- USB以外の電源を使っている場合は、電源をOFFしてUSBだけで試す
※これで書けるなら、原因は「外部配線」か「外部電源側」にあります。
4) デバッガ(接続先)選択ミス
症状:e² studio側のデバッグ機能は動き始めるが、評価ボードと接続できない
対処:
- e² studioの接続設定で、「評価ボード標準(内蔵デバッガ)」が選ばれているか確認する
(外付けデバッガ用になっていると接続できません) - それでも分からなければ、新しいプロジェクト(サンプル)を作って、まず書き込みだけ試す
→新規プロジェクトで書けるなら、原因は「今のプロジェクトの設定」にあります
5) 前回の接続が残っていて、うまくつながらない(再接続できない)
症状:一度失敗するとその後ずっと失敗が続く
対処:
- IDEを閉じる → 評価ボードからケーブルを抜く → PCのUSBを抜き差し → もう一度接続
- 可能なら PC再起動(最短の現実解)
6) リセット状態 / ブート状態が想定外
症状:接続はできるが書き込みができない、ターゲットが応答しない
対処:
- 評価ボードのRESET(リセット)ボタンを押しっぱなしや、離すタイミングを変えて試す
- 電源OFF→数秒→ON してから書き込みを行う
7) 保護状態(書き込み禁止・ロック)の可能性
症状:前は書き込みできたのに急にできなくなった/毎回同じところで止まる
対処:
- 書き込みする前に「消去(Erase)」が必要な場合がある
※消去すると内容が消えることがあるので、むやみに実行しない(一度相談)
8) 外部機器をつないだ状態だと書き込みが失敗する
症状:評価ボード単体では書き込みできるが、外部機器をつないだ状態だと失敗する
対処:
- 外部機器を全部外して評価ボード単体に戻す(これが切り分け)
- 外部機器をつなぐなら、原則 GND→電源→信号 の順につなぐ
9) 書き込み対象が違う(別プロジェクト/別設定を書こうとしている)
症状:プロジェクトを変えたら失敗、以前は成功していた
対処:
- “新しいプロジェクト(サンプル)を作って、まず書き込みだけ試す(成功したら設定問題が濃厚)
- 成功した状態を テンプレとして固定して、以後そこから複製する(事故防止)
10) 評価ボード・USB端子・ケーブルの物理故障(最終候補)
症状:ケーブル/ポート/PCを変えてもダメ、認識自体が不安定
対処:
- 別PCで試す(ここで切り分けが確定しやすい)
- 端子のゆるみ・曲がり・焦げ臭など 物理サインがあれば使用停止(安全優先)
まとめ
- まずは USB(ケーブル交換+直挿し+別ポート) を疑う
- 次に USB抜き差しで電源を入れ直す(5秒待つ)
- それでもダメなら e² studioの接続設定が「評価ボード(内蔵デバッガ)」 になっているか確認
- 外部配線があるなら いったん全部外してボード単体で試す(切り分けが最速)
次に読む
- 組み込み開発とは?(開発の流れ:ビルド→書き込み→実行→止めて見る)(リンク)
- デバッガとは?ブレークポイントで止めて確認する(リンク)
- GNDとは?外部機器をつなぐ前にまずGND(リンク)