「電気と電気回路とは」では、抵抗は、電流の流れにくさだと説明しました。
今回は、その抵抗について、もう少し役割について解説します。
抵抗とは
電気は電子の流れだと説明しましたが、この電子が進む途中に "通りにくい場所" があると、電子の流れは遅くなります。
これを実現しているのが抵抗です。
水の流れで例えると、ホースの途中を手で 「軽く押さえる」 と、水の流れる量が少し減ります。
次に「強く押さえる」と、さらに水は流れにくくなります。
- 押さえる力が弱い → 水が流れやすい(抵抗が小さい)
- 押さえる力が強い → 水が流れにくい(抵抗が大きい)
抵抗は、まさにこの 「押さえて流れにくくする」役割を持っています。
抵抗の大きさは、オーム[Ω]という単位で表されます。
抵抗があると何が起きるのか
抵抗があると電気回路には、次のような影響が出ます。
電流が少なくなる
抵抗が電流の流れを妨げるため、流れる電流の量が減ります。
これは、後で学ぶオームの法則で数値として計算できます。
抵抗の前後で電圧が下がる(電圧降下)
抵抗を通るとき、電子はエネルギーを失います。
このため、抵抗を通った後は、通る前と比べて電圧は低くなります。
このような、電圧が下がる現象のことを電圧降下といいます。
電子がエネルギーを消費して熱が生まれる(ジュール熱)
電流が流れると、電子が抵抗の中を進みます。
このとき電子は、抵抗の材料を構成する原子と何度も衝突します。
衝突が起きると、電子が持っていたエネルギーの一部が原子に伝わり、原子の振動(熱運動)が激しくなります。
このときに発生する熱を ジュール熱 といいます。
このことから、抵抗の値が大きいほど、電子が原子と衝突しやすくなるため、電流が流れたときに発生する熱も大きくなります。
実は、抵抗器を使わなくても、電線そのものにもわずかに抵抗があります。
そのため、電線にも小さなジュール熱は発生します。
抵抗器の種類
抵抗といっても、実はいくつかの種類が存在します。
IoTや電子工作ではよく使う代表的なものを紹介します。
- 金属皮膜抵抗
現在最もよく使われるタイプです。
誤差が小さく、安定性が良く、IoTや電子工作では基本的に 金属皮膜抵抗 を選ぶと間違いありません。 - 可変抵抗(ボリューム:VR)
つまみを回すことで抵抗値を変えられる抵抗です。
電圧調整、センサー調整などに使われます。 - SMD(表面実装)抵抗
基板に直接ハンダ付けされる小型の抵抗です。
IoTボードにはこちらが使われています。
抵抗の使われる場所
抵抗は電子回路の至るところで使われていますが、ここでは詳しく説明せず、最低限のイメージだけ紹介します。
主に次の用途で使われています。
- 電流を調整する
- 電圧を分ける
- 信号を安定させる
具体的な使い方(LEDの電流制限、分圧回路、プルアップ抵抗など)は、別の記事で解説する予定です。
まずは、抵抗は、電流の流れを調整し、エネルギーを熱として消費する部品ということだけ覚えておきましょう。
まとめ
- 抵抗は電流を流れにくくする部品
- 抵抗があると電子の動きが妨げられ、電流が少なくなる
- 抵抗の前後で電圧が下がる(電圧降下)
- 電子と原子の衝突によって熱(ジュール熱)が生まれる
- 抵抗にはいくつか種類があるが、初級編では3種類を知れば十分
- 抵抗はIoT回路の多くの場所で使われる